わしの父は56歳で定年退職した。
星野仙一は70歳で死んだ。
そう考えると64歳のわしはもう晩年に入っている
ことになる。
自分の年齢や、スタッフの生活や、出版業界の衰退を
目にすれば、わしもそろそろ守りに入らなければなら
ないのかもしれない。
出版不況の厳しさは相当なもので、漫画雑誌の編集者が
「下りのエスカレーターを必死で駆けあがっているよう
なもの」と言っていた。
漫画だけでなく全雑誌が部数を落としているのだ。
こんな時代に、わしも守りに入るべきか?
仕事場の規模を小さくして、コストカットしまくって、
堅実な仕事をしつつ、穏やかな余生を目指すべきか?
だがわしは全然そんな気持ちになれない。
まだ40代の気分で、挑戦と野望しかわしの頭の中に
はないんだが、これっておかしいのだろうか?
わしには論敵への礼節がないとか、もっと高みに上れ
などと言う者がいるが、あほらしいこと言うなと思う。
円熟したらダメで、もっと毒牙の毒を増やさねばなら
ない。
ついつい優しくなる自分を反省しなければならない。
今年の目標は、もっとギラついて、昔の『ゴー宣』の
「凶暴さ」に戻っていくことだ。
「凶暴」になるぞ――――――!